懲罰の経緯と問題点―江本市議

懲罰の経緯
2023年9月27日江本議員が、市議会定例会において山下市議への不当利得返還請求の提訴に関する質疑の中で、「実は、私の農地の中にも市の土地が存在しています。その土地は、現在、竹林として私が管理をして、そこから毎年タケノコを掘って、利益を得ています。販売したりしてます。」と発言した。
   10月10日この発言が議会の品位を汚し、善良な市民を辱めるものだとして、市議会議員28名中22名の署名による懲罰動議が提出され、江本議員に対する懲罰特別委員会の設置が可決された。
 10月10、11日懲罰特別委員会が開催され、江本議員に対する懲罰が決定された。この委員会のメンバー10名のうち、委員長、副委員長を含む8名は懲罰動議の署名者である。
   10月16日本会議において、江本議員に対する懲罰(陳謝)が圧倒的多数の賛成により決定された。
しかし、江本議員が陳謝文の読み上げを拒否したため、それに対する新たな懲罰動議が22名の署名により提出され、懲罰特別委員会の設置が可決された。
同日、前回と同じメンバーによる懲罰特別委員会が開催され、江本議員への1日間の出席停止の懲罰が可決された。
続く本会議において、江本議員に対する懲罰(1日間の出席停止)が圧倒的多数の賛成により決定された。
   11月1日江本議員が、出席停止の懲罰処分の取り消しを求める審決申請を静岡県知事に対して行なった。
2023年12月~
2024年7月
自治紛争処理委員による5回にわたる審理等を経て、意見書が静岡県知事に提出された。
   8月7日静岡県知事より審決書が出された。
懲罰の問題点

江本市議に対する懲罰に関しては、以下のような問題点があります。

  • 最初の懲罰動議の理由が、江本市議の発言が森林法に触れる可能性があり、議会の品位を汚すものであるとされていること。真偽の確認もせずに可能性があることを理由にして議会の品位を汚すと決めつけることは明らかに誤りであり、さらに、議会の品位という漠然とした概念を懲罰の理由にすると、恣意的に懲罰が決定されてしまう可能性が高く、懲罰が濫用されてしまう。
  • 設置された懲罰特別委員会は圧倒的多数の懲罰賛成委員から構成されており、中立性・公正さが全く保証されない構成であると共に、懲罰動議の提案理由の説明、審議が省略されるなど、不公正な手順によって進められていること。(山下市議に関する懲罰特別委員会と全く同じ構図)
  • 懲罰特別委員会の審議自体も、中立的立場での深い議論がなされておらず、賛成派議員の偏った恣意的な主張により懲罰の結論が出されていること。
  • 第2回目の懲罰特別委員会も最初の懲罰特別委員会と同じメンバーで構成されており、やはり中立性・公正さが全く保証されないものであること。
  • 2回の懲罰特別委員会が共に非公開で開催されていること。懲罰は議員の身分にかかわる重要な事柄であるからこそ市民に公開すべきであるにもかかわらず、過去の慣例や会議の性格上など、些細であいまいな理由で非公開が決定されてしまっている。